最近よく見かけるマルチ、MLM、ネットワークビジネスについて

以前から喫茶店、ファミレス等で行われる詐欺を多々見かけてきましたが、最近どうもターゲットを比較的若い年齢層に向けてきているという話を耳にしたので少々書いておこうと思います。

はじめに

まず、何十年も昔からネズミ講やそれに近いものはなくなりません。
これは楽して儲けたい、という観念が根底にあるからなのですが、その心理を上手いこと利用しさも儲かるように持ちかけるからです。
楽して儲かる、などというものは存在しないので、当然儲かりません。大元に吸い上げられていくだけです。
ネズミ講自体は法的に規制され、犯罪となったので最近は見かけることがあまりなくなってきました。
しかし、最近は似たようなものによる若い人への被害が多く見受けられます。
十分なお金を持っていなかったり、あるいは生活のために稼ぐことが大変なので引っかかりやすいようです。

最近の状況

最近はより厄介なものが出て来ています。
それはマルチ商法やMLM(Multi Level Marketing)、ネットワークビジネスと言われるものです。ネズミ講が実商品が無く会員費だけを集めるのに対し、マルチ商法やMLM、ネットワークビジネスでは実際に商品が存在します。
ネズミ講が規制された無限連鎖防止法の第二条で以下のように定義されています。

第二条 この法律において「無限連鎖講」とは、金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む。以下この条において同じ。)を出えんする加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の出えんする金品から自己の出えんした金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織をいう。”

マルチ商法やMLM、ネットワークビジネスはこの部分を上手いこと避けているように表現し、会員を増やす営業手法を取ることが多く見受けられます。例えば、「基本会員費は無料です。会社から買った商品を、自分が営業し販売した分の利益はあなたのものです。但し、売上から5%は会社へシステム利用料として支払ってください。しかし、新規会員を1~2名勧誘すればシステム利用料は無料になります。」あるいは、「新規会員の売上から5%はあなたのインセンティブになります。」などと営業します。
会社としては商品を会員に売った時点で利益が出るのですが、そこから更にシステム利用費を徴収、あるいは新規会員の募集をします。これだけならまあ問題は無いか、と思う人もいるのですが、月毎に決まった商品を購入し販売せねばならず、それによって利益を上げ続ける事は難しいのも事実です。

ネズミ講と似ているところは

マルチ商法やMLM、ネットワークビジネスがネズミ講と似ているところは組織の広がり方が似ており、例えば会員が1月に2人勧誘したとすると翌月には子会員が4人、孫会員が8人、曾孫会員が16人、玄孫会員が32人とねずみ算式に増えていきます。
ちなみにこの方式、27代あたりで日本の総人口を超えます(笑)上手く行かないことが最初から分かっている訳ですね。

また、会員を広告を出さずに口コミや勧誘で商品を流通させていく点も似ています。広告費や流通のためのコストが掛かりませんし、更に販売は社員ではなく委託している会員が行うため教育費や社員の維持費が掛かりません。

どう考えても始めた人間が儲かるよう出来ているのです。

結局違法であるか、そうではないのか

これは判断が難しいところです。
ネズミ講は無限連鎖防止法によって規制されていますが、マルチ商法やMLM、ネットワークビジネスは厳密には該当しません。
しかし、国民生活センターが以下のような見解を示しています。

連鎖販売取引とねずみ講の勧誘員の責任

つまり、スキームに無理、誇張があるので結局は詐欺として判決が下りるようです。
また、売買契約と配当契約を別途行い、金銭の配当部分を実質的ネズミ講と解釈して公序良俗違反とされることもあります。

簡単な見分け方は

ひかっからないようにする為、簡単に見分ける方法はないかと聞かれれば、結構あります。

一つ目は、「お金を儲ける方法を教える。」と勧誘され、いざ話を聞いてみれば別の人間が来る事です。
殆ど間違い無く、マルチ商法やMLMの営業です。さっさと帰ってしまうべきでしょう。

二つ目は、”完成されたビジネスのシステムであるにも係わらず、白紙に1から書いて説明を始める”です。
普通の会社であるならば、営業資料が必ず存在します。しかし後ろめたい可能性があるような場合、その資料が詐欺である証拠の一つとなってしまう為、持ち歩くようなことはしません。必ず口営業、紙に書いて説明する、といった証拠の残りづらい手法を取ります。

三つ目は、「皆やって儲かっている。」や、「あなたのために……」と言ったお決まりの文句を挟むことです。

と言ったところでしょうか。
上記のうち1つでも当てはまる場合は相当に警戒すべきでしょうし、すぐにその場を離れるべきです。
また、再び勧誘してくる事もありますが、これは特定商取引法によって禁止されています(法第3条の2 再勧誘の禁止)。

最後に

友人付き合いを盾にこういった行為に勧誘してくる人間は少なくありません。
しかし、ハッキリと断る事がとても大切です。
いきなり断る事が出来なくても、一度その場から離れる、警察に電話して来て貰う、弁護士に相談すると言った事も念頭に置いておくと良いでしょう。

弁護士費用は高く付くのではないか、警察の人に来て貰うのは迷惑なのではないかと思う人も多いかと思います。
しかし、弁護士は基本的に料金が決まっていますし、相談だけなら無料の事務所も多く、一度弁護士会に連絡を取ってみるのも良いと思いでしょう。
また、警官は国民の安全を守ることが仕事ですし、勘違い程度であれば怒ったりもしません。

自分の身を守る事を、大切に。

 

追記

何かと話題にあがるnetgeekですが、マルチ商法のアムウェイの勧誘台本の流出についての記事があったのでリンクを張っておきます。

http://netgeek.biz/archives/73160

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