はじめに
クリエイターは個人事業主に当たる方が非常に多いです。
法人成(ほうじんなり:企業になること)すると税金も優遇される為、している方も一定数いらっしゃいますが、何をして良いか分からなかったり、面倒でもあるのでなかなか個人事業主から法人成するのは……という方が殆どのようです。
さて、個人事業主でクリエイターをする上で問題になってくるのは金銭面もですが、一番トラブルとなるのは契約面であることが殆どです。
例えば契約書を正式に交わしていない為、著作権がどちらにあるか曖昧であることを利用されて勝手に納品した作品を使い回される、支払期日を設定していない為いつまでも支払がされない、何度でも修正させられたり追加の作業をタダでやらされる……などなど多くの問題を見受けます。
契約書を交わしておけば防げたトラブル……なくしたいですよね。
自分も様々な企業とお仕事をさせて頂いていますが、スムーズな仕事をする為に契約書を交わしています。その中からクリエイターの方向けのテンプレートを作成しましたので、よろしければ以下のリンクからDLしてお使い下さい。
使い方
簡単に使い方を説明します。
DLしたzipファイルを解凍すると以下の3つのファイルがあるはずです。
・基礎契約テンプレート.docx
・見積もりテンプレ.xlsx
・請求書テンプレ.xlsx
画像はMacのものですが、Windows向けに圧縮したのでWindowsでも文字化けせず表示されるはずです。
基本的には三点セットで利用します。
基礎契約書で先方と契約し、打ち合わせを行い見積もりを出し、納品後請求書を出してお金を振り込んで貰う……簡単に言えばこういう流れです。
まずは基礎契約テンプレートのファイルを開いてみましょう。
OS毎の表示差はありますが、このように表示されると思います。
MacであればデフォルトでPagesが入っているのでWordファイルを開くことが出来ますが、WindowsユーザーはOfficeを購入しないとファイルを開いて編集する事が出来ません。その場合ですが、便利なオンラインサービスを利用しましょう。
Microsoftのオンラインサービスです。
無料で基本的なWordやExcelの機能を使用することが出来ます。
Googleのオンラインオフィスツールです。
完全ではありませんがMicrosoft Officeと互換性があり、WordだけでなくExcelファイルもGoogle スプレッドシートで取り扱うことが出来ます。
上記2つはWebアプリケーションなので、Windows、Mac、Linux等OSを問わずに利用出来る点がポイントです。
スマートフォンやタブレットの場合はアプリケーションが公開されていますので、iOSでもAndroidでもアプリストアからDLして利用しましょう。
さて、話を契約書に戻します。
この契約書の場合、甲が取引先、乙が自分に当たります。一応注釈を入れて黄色くしておきました。先方に送る際には契約書内の黄色い部分は全て消してください。
また、著作権に関しては仕事によって違うため、簡易にしてあります。取引先に著作権がある場合は第2条第7項を消してください。自分に著作権がある場合は第2条第6項を消せば良くなっていますが、出版権が取引先に設定されます。これは1年としていますが、取引内容に応じて変更してください。
出版権についての補足ですが、単一のメディアだけでなく複数のメディアで出版あるいは配信する場合は別途契約を結ぶ必要があります。
あとは先方の住所、会社名、担当者名(基本的には社長になると思います)を記入し、自分の住所、氏名を記入して印鑑を”印”の上に押して契約先に送付して印鑑を押して貰いましょう。
双方の印鑑の押された契約書をそれぞれが保管する事が契約を締結する基本です。契約締結前に仕事に入ることは基本的には止めましょう。
契約を結んだ後は実作業に入ります。
打ち合わせを行い、お互いが納得したところで作業内容についての見積書を作成します。
御中の前の○○○○には取引先の会社名、下のセルには担当者名を記入してください。
自分の住所、氏名(住所の上のセル)、連絡先を記入し、可能であれば印鑑を名前の横に押しましょう。
PDFで送信する場合は印鑑の画像データを取り込み、貼り付けるとよりベターです。
見積もりNo.は自分の好きに決めて良いですが、見積もり日にはその日を必ず記入しましょう。
適用の項目には作業内容、数量には枚数(作品によっては個数)、単価の項目には打ち合わせで決まった金額を記入します。
以上で合計金額まで全てを算出します。現在(2019年8月21日時点)は消費税が8%なので8%で計算するよう出来てますが、T6のセルを10%に変更すれば10%で算出するよう変更出来ます。
見積書を先方に送付し、OKが貰えれば作品を作成し納品します。
納品後はお金を請求します、請求書のテンプレートファイルを開いてください。
使い方は見積書と一緒です。
消費税の設定も同様なので、消費税改定後は変更してください。
支払期限は、打ち合わせで決定した日程に応じて変更しましょう。
請求書には必ず振込先を記入しないと、そこに振り込んで貰えません。気をつけましょう。
最後に
使ってみると分かりますが、意外と簡単だと思います。
特に見積もりと請求書は、慣れれば数分もあれば作成できます。
郵送が面倒な方は、PDFで先方にメールで送信すると良いでしょう。
しかし、気をつけないといけない点もあります。
契約を結ぶということは、双方がその内容を遵守する必要があります。
契約書のテンプレートを見れば分かりますが、反社とは自分以外に関係者が関わることすら許されませんし、契約した仕事内容について情報を漏洩する事も禁止されます。仕事を放棄することも許されませんし、馬鹿な事をすれば裁判で訴えられることもあります。
契約とは、自分を守るためのものでもありますが、同時に契約した内容を必ず守らなければならないものでもあります。
それを理解、意識してご活用下さい。